交響曲★八章:星と歌う子守唄
深い夜に一つの影が立香の傍に立った。「オベロン」黒いマントを纏った彼は、ベットに横たわる立香の髪を優しく梳く。ごめんなさい、と彼女は泣いた。ごめんなさい、ごめんなさい。「……ずっと不安だった」オベロンはそっと彼女の頬に手を当てて、囁く。「調…
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交響曲★七章:妖精王の儘ならないカルデアライフ
「このクソ虫ーーーーー! あれ程、言ったではないですか! 次は男子と!!!!!」オベロンはモルガンに胸元を掴まれたまま、がっくんがっくんと振り回されていた。あああと嘆く彼女に向けるオベロンの瞳に光は無い。屍のようだ。そんな彼の耳に、聞きたく…
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交響曲★六章:アイの生まれる日
その日、ジャンヌオルタはこの時間帯にティータイムをしたことを死ぬほど後悔した。出来れば眼前の光景から目を逸らしたままにして置きたかったが、次回作へのネタになるかもしれないと必死で奥歯を噛みしめる。紅茶を持つ手が震え、鮮やかな橙色の水面が波立…
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交響曲★五章:嵐-東より風雲来たりて、海に行く―
それなりの魔術師の家に生まれた彼は、それなりの人生を歩んできた。今回、カルデアの査察に同行できたのは各名家が牽制をしあった結果のおこぼれに過ぎない。色々な方面からあれやそれやと指示を受けているが、行く先を思えばどれだけの指示をこなせるか。憂…
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交響曲★四章:赤いアネモネをきみに/紫のアネモネを貴方に
一汁三菜。胚芽米ご飯。鮭のホイル焼き。小松菜の煮びたし。卵スープ。どれもこれも妊婦の立香を想って、厨房組が栄養素や彩りその他もろもろを考慮した渾身の献立だ。ご飯もホイル焼きもほかほかと湯気が上がり、野菜の緑も鮮やかだ。スープからはふんわりと…
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交響曲★三章:嵐-身内戦線、異常あり-
古今東西、老若男女、神在りて、鬼在りて、人ぞ在る。ここは歴史家や民俗学者が見ればひっくり返ること間違いなしの、様々な英霊たちが集う場所、カルデア人理継続保証機関。そんな星見の灯台では、嵐が吹き荒れていた――。「ぜっっっっっったい女の子です!…
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交響曲★二章:君に幸あれ
頭上に王冠を戴く、金紅の王女エウロペ――。かのお方は前触れも無く、医務室を訪れた。「なんだ。エウロペ殿ではないか。ここは怪我人病人向けの場所だ。用がないなら」「まあ。アスクレピオス。そんな他人行儀な。言ったでしょう? あなたもまた私の孫です…
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交響曲★一章:その知らせは突然に
空と天と宙と――異聞帯の果て、7つの空想樹を伐採し、最後の戦いに挑む。苛烈で熾烈な戦いの最中、一条の光が、1人の人間の胸を貫いた。「「「マスター!」」」(糞くそクソ糞くそ!!!)心中で己の油断を最大限に罵りながら、オベロンは倒れ伏した娘の下…
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