原作軸

『000915134』

―― 虞美人草 ――三軍散じ盡きて 旌旗倒れ 玉帳の佳人 座中に老ゆ香魂夜 劍光を逐うて飛び 青血化して 原上の艸と爲る*當年の遺事 久しく空と成る 慷慨尊前 誰が爲にか舞わん『誰が爲にか舞わん』誰がためにか?そんなもの、決まっている。ただ…

『0005728』

日曜日が嫌い。優柔不断な自分が嫌い。弱い自分が嫌い。あの子に振り向いてもらえなくて、あの人に嫉妬する。そんな醜い自分が、――一番嫌い。◆◆◆人理定礎値:B+年代:A.D.0060場所:古代ローマ「間違いありません、ここは古代ローマです」『や…

『0423』

「あっ、ぁっ、アッ」濡れた女の声に、カドックの足がビタリと止まる。考えるよりも前に体の方がマズイと判断したらしい。それより先に、一歩も進んではいけない・・・・・・・。獣の縄張り。そこへ踏み入れてしまったような緊張感。「ふぅー……」細く息を吐…

『0001』

もし、あの時、違う選択があったのなら。……数えるのも馬鹿らしいほどのイフもしもが転がっている。……。藤丸立香が人類最後のマスターでなければ。人理は恙なく救済されただろうか? 後輩もドクターも。帰還した英雄を『おかえり』と笑顔で出迎えられたの…

間奏★Mirror Mirror 君の言葉を聞かせて

「やられた」暗い廊下に立香の悔し気な声が落ち、オベロンからは舌打ちが響く。オベロンと立香は、古城の廊下で孤立していた。発見した特異点にレイシフトし、現地調査を行った。いつものルーティンだが捜査は足で稼ぐもの。村々の情報より、この古城に原因が…

間奏★魅惑のジョーゼット

ふっとオベロンは意識を浮上させる。本来サーヴァントに眠りは不要であるが、自分を打ち滅ぼした汎人類史に図らずも召喚されて以降、かつてのやる気がすっかり消えうせて、有事の際以降は惰眠を貪る癖がついてしまった。重たい頭を緩く振って、ぼうっと周囲を…

前奏曲★何時か見る夢

「ニンゲン! よくやったな!」「お竜さん」白い竜の乙女がぎゅうぎゅうと立香を抱きしめる。様々な過去の遺恨を乗り越えて、無事にこの特異点を解決出来た。これもまた一つの歴史。その終わりに見た志士の覚悟と運命への抗いを決して忘れることは無いだろう…

前奏曲★妖精王の稲作

「さあ行け、お前たち!」わーっと虫たちがオベロンの指示に従って、緑鮮やかな田んぼに駆けて行く。満足げにその様を見ながら、オベロンは腕を組んで水田を睥睨した。(おのれ、害虫ども)よくもまあ、この俺が汗水垂らした稲を貪り食ってくれたものだ。虫の…

前奏曲★消えゆく火に

太陽が沈み、昼間の暑さが嘘のように涼やかな風が海から流れてくる。ざあん、ざああんと揺れる波間の向こうの夜を眺めながら、オベロンは即席の椅子の上で蓄積した疲労を回復していた。「あー・・・、だっる」ヤドカリにチキンに、果ては鮫もどきと来たもんだ…

前奏曲★星の海できみとふたり

ピアノとヴァイオリンと、三拍子と七拍子。煌びやかな音楽がフロアに鳴り響いている。おとぎの国の特異点を無事にクリアした後、シンデレラ姫の立っての願いで、一夜限りの舞踏会がこの城で開かれている。いくらかのサーヴァント達もカルデアからこちらに来て…